世界の食品売場で始まる「食の発見」革命――注目商品と人気店から見える新しい消費トレンド

食品を購入する際、消費者が求めているのは、おいしさや価格だけではありません。「初めて見る商品に出会う」「食べたことのない味を試す」「その場で体験する」。こうした発見や楽しさが、食品の新しい購買動機になりつつあります。

世界の食品市場では、商品の中身だけでなく、形状、食べ方、売り方を変えることで、新しい価値を生み出す動きが広がっています。海外の注目商品やユニークな店舗から、その変化を考えてみたいと思います。

1.米国では、日本の「洋食」が次の注目トレンドに

米国の食品スーパーWhole Foods Marketは、2026年10月、2027年の食品トレンド予測を発表しました。

注目したいのは、「The Yōshoku Effect(洋食効果)」です。

日本のカレーライス、オムライス、ナポリタン、とんかつ、ハンバーグなど、日本では日常的な料理が、米国では新鮮な食文化として注目され始めています。

同社は2025年末に日本式のミルクブレッドを発売し、SNSでも話題になったと説明しています。また、カツサンドや卵サンド、カレーパンなど、日本のコンビニエンスストアで人気のある食品への関心にも言及しています。

興味深いのは、海外で評価される日本食が、従来の寿司やラーメンだけではなくなっていることです。

日本の食品メーカーにとって、普段国内で販売している商品にも、海外で新しい市場を生み出す可能性を感じます。今後の展開に注目したい動きです。

2.欧州では、食品の「形」を変える商品が登場

フランスの国際食品見本市SIAL Parisでは、2026年の革新的な食品として、ユニークな商品が紹介されています。

その一例が、トルコのCHEF SEASONSによる「Aged Soy Flakes」です。熟成醤油を結晶状のフレークに加工した調味料で、液体の醤油を、料理に振りかける食感のあるトッピングとして提案しています。

フランスのGREEN MATCHAは、抹茶とココナッツミルク粉末を組み合わせた、ネスプレッソ対応のヴィーガン抹茶ラテ用カプセルを提案しています。

また、オランダのRIVAL FOODSは、肉らしい繊維感を重視した植物性ステーキを発表しています。

いずれも、素材そのものが新しいというより、既存の食品や食文化を異なる形で提供している点が特徴です。

食品の商品開発では、新素材を探すだけでなく、既存素材の形状、食べ方、利用場面を変えることも、重要なイノベーションになると改めて感じています。

3.韓国では、コンビニが「訪れたい場所」に変わる

韓国のコンビニチェーンCUがソウル・弘大で展開する「Ramyun Library(ラーメンライブラリー)」も、注目したい事例です。

店内には多数のインスタントラーメンが並び、消費者は商品を選び、専用の調理機器を使ってその場で食べることができます。

韓国政府の公式メディアが2024年に紹介した際には、約230種類のラーメンを取り扱い、外国人観光客にも人気の店舗となっていました。

これは、単にラーメンの品揃えを増やしただけではありません。

商品を選ぶ楽しさ、調理する体験、食べ比べる面白さを組み合わせることで、日常的なコンビニを観光客も訪れる目的地へと変えています。

特別な設備や大規模な投資だけでなく、売り方や体験の工夫によって店舗の魅力を高められることを示しています。日本の食品小売業にとっても参考になる事例ではないでしょうか。

4.日本の食品企業にとっての新しい事業機会

これらの事例に共通しているのは、食品の価値を「商品そのもの」だけで捉えていないことです。

日本の洋食を海外向けに再提案する。醤油を新しい形状の商品にする。インスタントラーメンを選んで食べる体験に変える。

いずれも、既存の商品や食文化を異なる視点で見直すことで、新しい需要を生み出そうとしています。

日本には、地域ごとの特色ある食品、優れた製造技術、個性的な中小食品メーカーが数多く存在します。

これらの商品を従来のカテゴリーや販売方法にとらわれず、自由な発想で組み合わせれば、消費者が訪れるたびに新しい発見を楽しめる売場づくりも可能ではないでしょうか。

今後の食品ビジネスでは、「何を売るか」に加えて、「どのような発見や体験を提供するか」が、商品開発や小売業態の競争力を左右する重要な視点になると考えています。

今回の海外事例には、日本の食品企業が新たな事業機会を見いだすためのヒントが数多く含まれているのではないでしょうか。


参考資料